動く檻に人型が絶える日

車窓から木々
景色
変わってしまった故郷に
記憶を寄せれば
絶えてしまった唄も在ろう
鳶が優雅に飛ぶのは
誰に見られる意識とは外
想いを馳せれば普遍で
此の世は掻き消せないと知る

声で射てよ
存分に笑えよ
それは誰かの意識でなく
私の
そのものだ
両腕は伸びきるまで
千切れる程
天に突き上げたいのだ
手首を揃えて
掌に華を咲かせて

それでいて太陽は
対話をするかの様に
光の反射で
私を解放してはくれないだろうか
動く檻の車窓から
もう忘れていく無意味な風景ごと
私ごと
忘れてはくれないだろうか