レインオーバー

ある晴れた日に

海辺の砂を蹴るのは
幾つもの波紋を見たいから
少女は肌が弱く
太陽に長い時間耐えられないと笑った
少年は日傘を差して持ってあげた
そんな小さな微笑ましさか
海鳥は二人の上を舞う
この世界の愛だという様に

時が経ち二人は大人になった
別々の道を行く事に
彼は宇宙の火の星へ
彼女は宇宙の水の星へ
それでも互いに心は通っていて
手紙を出し合う事にした
一通出すと
相手に届くのに一年
その距離は宇宙の端と端
彼女は太陽を隠す雨の日にしか
もう外に出られないと
彼は火の星で雨に耐えられない体になったとは書けなかった

もう何十通になってしまった
だから
彼はお金をためて

何十年も経ってしまったけど
会いに来たよ

レイン
君の名は
レイン

シャトルを降りて
傘を差して待っていてくれた彼女は
「もう、おじいちゃんとおばあちゃんだね」
と昔の様に笑った
彼は傘を受け取ってニコッと
「今日は素敵な雨の日だね」
と彼女を抱きしめた


そんな小さな微笑ましさか
水鳥は二人の上を舞う
この世界の愛だという様に