ナギユエ

波に揺蕩い

浮かんでいた僕は

なんて空が綺麗なんだと

漂流している事も忘れ

誰かに教えてあげたい

などと呟いて

好きな歌を歌ってた

緩やかに

押し戻され

眼を覚ませと

都会の雑踏が

掻き鳴らせよ

急げよと

餌を千切り

貪る鴉が鳴いた

「煩えなぁ」

ギザギザ型周波数の波に

アスファルトは冷たく

悪臭と醜悪の中で

癒されるとは

何たるかを

知らない人の中で

何度も確かめては

異相遠からずと頷く

この場所の

この時代に生まれてきたのは

70億分の1の

知らぬまま存在する君に

すれ違う為ではないだろう