不思議な友達の話

一角獣に遭った

それは少年だった頃

昔の思い出

僕は確かこう言った

「どこかへ連れ出しておくれよ」

一角獣は

「それならもう少ししたら

東の空からキマイラが来るから

頼んでみるといいよ」

そう言って一角獣は

七色の輝く鱗粉を撒きながら

消えた

暫くキマイラを待ったんだけど

来る気配がないので

僕は帰る事にした

最近まで

そんな事はすっかり忘れていたんだけど

昨日

一角獣が外にいて

嬉しくて駆け寄った

すぐに消えてしまって

残念がっていたら

家のベッドに座っていた

驚いている内に一角獣は

こう話し出した

「キマイラには会わなかったんだね。

君が生きているって事はそういう事なんだよ。

どこかでまた逢えるといいね。」

沢山話したかったのに

またすぐに消えてしまった

ベッドには銀の砂が残っていて

 それを大切に瓶に入れた

僕は銀の砂を見ながら考えていた

沢山話したい事がある

「友達になろうよ」とか

「ありがとうとか」とか

色々考えたんだけど

話したい事があり過ぎてしまう

いつ今度逢えるか解らないけど

次は

「僕は陽っていうんだけど、君の名前は?

良かったら教えてよ」

って言うんだ

それを言えなかった少年時代の自分は

望みばかりを押し付けてしまった事を

とても悔やんだ

それを

いつか子供にも教えてあげたい

 

不思議な友達の話でした